Fixedincome Credit
インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ 2021

テーマ1 新型コロナウイルス感染症により流動性が焦点に。資金引き出しにより保有資産が減少し、現金資産が倍増

新型コロナウイルスの財政への影響により、一部の政府は、資本支援ならびに財政赤字補填のために2020年に政府系ファンドなどのソブリン投資家の資産を活用しました。2021年1月と2月に実施した今年の調査において、流動性ソブリンの78%や投資ソブリンの58%を含む全ソブリン投資家の3分の1以上が保有資産の減少を経験しました(図1.1)。
図 1.1 新型コロナウイルスにより保有資産の減少を経験したソブリン投資家(%、ソブリン投資家)
現金

流動性を重視したことで、2020年にはポートフォリオ内の現金が2倍以上に増加しました。これには、足元の緊急性以外に、一部のソブリン投資家によるさらなる資金引き出しの可能性を見越した動きが反映されています。一方で、ソブリン投資家はまた、コロナ禍により流動性の重要性を再認識したと指摘しています。流動性の確保は、今後起こりうる「ブラックスワン」に対するリスクヘッジとなる一方、投資の好機に対して柔軟なアプローチをとるためにも重要であると考えています。

図 1.2 資産配分(平均値、%、ソブリン投資家)
株式

十分に体制を整えていたソブリン投資家の多くは、パンデミックのさなかに機動的に株式を購入し、その後の株価バリュエーションの回復により、ソブリン投資家の4分の1以上が株式がオーバーウェイトとなっています。株式への、そして債券からの資金流入の動きは、投資ソブリンと債務ソブリンによる株式の配分引き上げにも後押しされ、来年も続くと予想されます。

 

プライベート・マーケット

プライベート・マーケットは、債券への配分の減少によるもう1つの最大の受益者と考えられます。債券リターンの代替となる資産に着目しているため、債務ソブリンが主にこの動きを推進しています。債券利回りの低下により、債券と同様のリスク低減の役割を果たすと見込まれるプライベート・マーケット資産がより魅力的な資産と見なされ始めています。

図 1.3 今後12カ月間の資産配分計画(回答者に占める比率(%)、ソブリン投資家)

詳細はレポートを御覧ください。

第9回目となるインベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディでは、82のソブリン・ファンドと59の中央銀行における、141名の投資責任者、資産クラスの責任者もしくはシニア・ポートフォリオ・ストラテジストを対象に調査を行いました。調査対象となった運用資産総額は19兆米ドルに上ります。
インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ

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英語版の資料をご用意しております。
●(英語版)Invesco Global Sovereign Asset Management Study 2021
インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディの発行は2013年に始まり、今回で9回目となります。今回の調査は、2021年1月から3月の間に実施されました。過去の調査における長期的な傾向の分析、新たに発掘した洞察などから得られた知見を基に、以下の5つの主要テーマを設定し、ヒアリングを行いました。
インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ2021

インベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ2021

第9回目となるインベスコ グローバル・ソブリン・アセット・マネジメント・スタディ

82のソブリン・ファンドと59の中央銀行における、141名の投資責任者、資産クラスの責任者もしくはシニア・ポートフォリオ・ストラテジストを対象に調査を行いました。調査対象となった運用資産総額は19兆米ドルに上ります。     

 

 

 

新型コロナウイルス感染症により流動性が焦点に

テーマ1

新型コロナウイルス感染症により流動性が焦点に。資金引き出しにより保有資産が減少し、現金資産が倍増

新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)により、当面の資金引き出しニーズと将来の投資機会を捉えるため、流動性が焦点になりました。低利回り環境とインフレ懸念を背景に債券への資産配分が削減され、株式とプライベート資産が増加しました。また、バリュエーションへの懸念はあるものの、アクティブ戦略の活用の増加や投資期間の長期化によってそれが一部低減する形で株式配分は増加しています。

パンデミックによりESG投資の採用が進み、インパクト投資の重要性が増す

テーマ2

パンデミックによりESG投資の採用が進み、インパクト投資の重要性が増す

新型コロナウイルスにより、特に中央銀行の間でESGへの注目が高まっています。気候変動は市場価格に完全には織り込まれていないとの見方が一般的となり、それによりESGインテグレーションの目的が投資リターンの改善へと変化しました。特に開発ソブリンの間でインパクト投資への関心が高まっていますが、規模があり投資可能な機会を見つけることが課題として残っています。

地政学的リスクは残るものの、 新型コロナウイルス感染症の収束と共に中国への投資を再開

テーマ3

地政学的リスクは残るものの、 新型コロナウイルス感染症の収束と共に中国への投資を再開

魅力的な内需によるリターンと多様な投資機会に支えられ、中国の投資妙味は過去4年間で着実に高まっています。ソブリン投資家は、中国の経済的重要性の高まりと、株価指数と債券指数における中国採用の増加に着目しています。一方で、政治的リスクはますます大きな課題となっており、ソブリン投資家は投資に対する重要な障害として米国との政治的緊張の高まりを指摘しています。  

 

 

不動産は依然として堅調であり、気候変動リスクが最大の懸念事項

テーマ4

不動産は依然として堅調であり、気候変動リスクが最大の懸念事項

ソブリン投資家は引き続き不動産を大きな投資機会を見出しており、北米と欧州先進国がその投資地域として注目されています。投資機会は不動産タイプによって異なっており、産業施設(物流倉庫)、住居、データセンターが最も魅力的な利回りを提供すると見なされています。また、気候変動はポートフォリオに対する最も重要なリスクと見なされており、ソブリン投資家は不動産の評価とデューデリジェンスの際に気候リスクの考慮を強めています。

中央銀行の準備金は大幅に増加 その分散化について流動性準備金とともにリスク資産に注目

テーマ5

中央銀行の準備金は大幅に増加 その分散化について流動性準備金とともにリスク資産に注目

新型コロナウイルスによりリスクに関する議論が高まり、準備金が増加し、流動性資産への配分が増加しました。中央銀行は、単一資産レベルのリスクからポートフォリオ・レベルでのリスクを注視するようになっており、非伝統的な「リスク資産」への配分はポートフォリオ・レベルのリスクを低下させると認識されています。株式の重要性は高まり続けていますが、広範なインデックスやETFという最も流動性の高い選択肢が注目されています。また、米ドルからの資金移動が続いており、その主な受益者は中国人民元となっています。

当資料は、一般もしくは個人投資家向けに作成されたものではなく、機関投資家向けのものとなります。情報提供を目的として、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が、英文でリリースされた”Invesco Global Sovereign Asset Management Study 2021”を解説するために作成された英語コンテンツの一部を翻訳して作成したものであり、法令に基づく開示書類でも投資勧誘を目的としたものでもありません。翻訳(または抄訳)には正確を期していますが、必ずしも完全性を保証するものではありません。また、抄訳の場合には、原資料の趣旨を必ずしもすべて反映した内容になっていない場合があります。また、公表されたデータ等に基づいて作成されたものですが、過去から将来にわたって、その正確性、完全性を保証するものではありません。
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C2021-08-544