インベスコ ダイレクトレンディング運用戦略 ミドルマーケットローンへの投資機会

インベスコ ダイレクト・レンディング運用戦略

ミドルマーケットローンへの投資機会

 

インベスコの債券運用部門である、インベスコ・フィクスト・インカムから「インベスコ ダイレクト・レンディング運用戦略 ミドルマーケットローンへの投資機会 」がリリースされましたのでご案内致します。

本稿では、機関投資家の間で注目が集まるインベスコのダイレクト・レンディング運用戦略に関して、その概略と市場特性、さらには、ESGを考慮した運用についてご説明しており、是非ご一読いただければ幸いです。

インベスコのダイレクト・レンディング(概要)
  • ダイレクト・レンディング運用チ―ムを含め、インベスコのプライベートクレジット運用に関わる部門(以下、「プラットフォーム」)は、380億米ドル以上の運用資産と100人超の専門家を擁しており、プライベートクレジット運用では最大手の一角を占めています。1
  • インベスコのダイレクト・レンディングは、主に北米のコア・ミドルマーケットの企業に対してシニア担保付ローンを提供します。これらのローンは伝統的債券に比べてボラティリティが低く、優れたリスク調整後リターンの獲得を求める投資家にとって魅力的な機会を提供すると考えます。
  • ダイレクト・レンディングは、運用チームが持つミドルマーケットの企業に対する長年のローン経験を活用しています。 この戦略は元本の保全に重点をおいており、厳格なデューデリジェンスを伴う規律ある投資を行います。
  • インベスコのビジネス規模の大きさによって、他の従来のミドルマーケットのダイレクト・レンディングのプロバイダーと比較して、差別化されたモデルが生み出されていると考えます。インベスコのダイレクト・レンディングの運用チームは、社内の充実した陣容を持つシンジケートローン・チームなどとも協力していますが、シンジケートローン・チームは様々なセクターの専門知識、プライベートエクイティとのつながり、およびシニアローンへの長年の投資経験などを有しています。

WEBで読まれる方は下記を引き続き御覧ください。 

はじめに

インベスコのグローバル・プライベートクレジット運用部門は380億米ドルを超える運用資産を管理しており、シンジケートローン運用チーム、ダイレクト・レンディング運用チーム、ディストレストクレジット運用チーム、ストラクチャード商品(CLO)運用チームにまたがる幅広い機能を備えています。インベスコがこれまでの数十年にわたる運用経験から学んだことですが、それぞれの運用戦略で特化した専門家チームを備えること、それをグローバルで統合されたプラットフォームに起因する規模、リソース、経験によって強化することが重要であり、それによってさまざまな投資対象にまたがって投資機会を捕捉し活用することが可能になります。

インベスコの業界最大級であるプライベートクレジット運用体制の規模は、世界のプライベートエクイティへの主な資金提供者として数十年にわたって積み上げてきたものですが、こういったプライベートエクイティとの長期にわたる有意義なつながりは一般的なダイレクトレンディング市場では容易に利用できないものと考えます。インベスコのプラットフォームは現在200を超えるプライベートエクイティ会社とすでにローンを通じてつながりがあり、プライベートエクイティがスポンサーである企業に対して250億米ドルを超えるローン残高があります1。これらの関係は独自の差別化された投資機会を継続的に生み出す源泉となるものです。こういった投資機会のソーシング能力によってディールを有利に進めることができ、それが好ましい投資成果をもたらします。

インベスコのプラットフォームは、業界で最大級のセクター別クレジットチームを含めて、プライベートクレジットに特化した100名超のスタッフのリソースを備えており、協調しながら情報共有するように設計されています。そこでは、共通のCIOの下で動機付けされることで協力と情報の相乗効果が促進されますが、プラットフォーム1全体で2,000を超える発行体の情報が収集され、うち800を超える発行体に投資を行っています。この広範なセクター情報によってソーシングのパートナーとの充実した対話が可能になり、優先的にディールがもたらされます。

1 出所: インベスコ、2022年11月末現在

最後に、インベスコのプラットフォームはプライベートクレジットに特化した数十年の経験を有しており、元本の保全に注力しつつインカム/トータルリターンに焦点を当て、複数のサイクルにわたってポートフォリオを運用してきました。また、ダイレクト・レンディング運用チームのシニアメンバーは、平均25年超のミドルマーケット・ローンの投資経験を持ち、その多くの期間において協働してきました。

プライベートクレジットの資産クラス全体での明確な変化の1つは、主にミドルマーケットの企業向けに直接提供するシニアローンに投資家が参加する機会が増えたことに思います。ダイレクト・レンディングとしてよく知られているこの資産クラスは、ボラティリティの低下に加え、伝統的な債券に対する大きいプレミアムなど、投資家にすぐれたメリットを提供します。

本稿では、ダイレクト・レンディングの状況や市場機会の他、ダイレクト・レンディング投資のバリュードライバーに関してリミテッドパートナーが留意すべき事項についてご説明します。

I.    市場動向
A.   大きな追い風を受ける投資機会

米国のミドルマーケットは大きく多様な経済システムであり、20万社を超える企業(年間収益は1,000万ドル~10億ドル)から構成されています。これらの企業は米国の民間部門のGDPの3分の1を占め、約5,000万人の従業員を雇用しています。 それらの地理的な分布は米国全域に広がり、ビジネス・サービス、産業、ヘルスケア、消費財、金融をはじめ、あらゆる産業が含まれます。

図表1. 米国のミドルマーケットの概要
図表2. ダイレクトレンディング運用戦略の業種配分
B.   構造的変化がダイレクト・レンディング運用戦略への投資機会を創出

コア・ミドルマーケットは、企業価値が1億ドルから7億5000万ドルの企業を含むと定義しています。これらの企業は通常EBITDAが10百万ドル〜 75百万ドルで、負債は50百万ドル〜350百万ドルの範囲です。企業規模が大きくないため、これらの企業は通常は伝統的なデット資本市場にアクセスできず、歴史的にはそれぞれの資金調達ニーズを満たすために地方や地域の銀行などに依存してきました。

過去25年超にわたり2つの大きな要因で、従来の銀行によるミドルマーケットでの融資ビジネスは縮小してきました。最初の要因は、1990年代に始まった銀行統合の波であり、国際的な大銀行が地方の銀行の買収と統合を開始したことです。 2000年以降では米国の商業銀行の数は45%2減少しています。その結果残った少数の銀行の規模はさらに大きくなり、そのビジネスモデルはますます上流に移動して、取引の収益性と規模がより大きい大企業向けサービスに傾斜するようになりました。

金融危機後の数年間で加速した第2の要因は、バーゼルIII、OCCレバレッジド・レンディング・ガイドライン、ドッド・フランクなどを含む法改正等によるもので、複雑な規制上の要請からの負担が加わったことでミドルマーケット向けのビジネス収益性に影響を及ぼし、多くの銀行はミドルマーケット向け融資の抑制を決定しました。過去10年間でみると、プライベート投資家にミドルマーケットローンを提供していた運用会社がビジネスを広げ、機関投資家向けの資産クラスとしてのダイレクト・レンディング運用が生まれました。

ミドルマーケット全体の大きさだけを考えても、ここには企業の成長やビジネスで必要となる資金への恒久的な需要があります。プライベートエクイティの台頭でさらに需要が高まっています。ここ数十年、ミドルマーケットの企業はプライベートエクイティのバイアウト戦略における重要な投資対象となっています。プライベートエクイティの投資アプローチは一般に3〜7年での資産保有を目的としていますが、こうした行動はレバレッジド・バイアウト、追加ファイナンス、配当、リキャップなどのさまざまな企業活動に必要な資金調達への需要を高めます。実際、ミドルマーケットでのディールフローによってダイレクト・レンディングが活性化しています。過去10年間、プライベートエクイティは一貫して米国のミドルマーケットに焦点を当てて追加資本を調達してきました。これによりミドルマーケットを対象としたドライパウダー(投下可能な資本)の水準が上昇し、現在5,800億ドルと推定されます。

 2 出所: Federal Deposit Insurance Corporation、2022年11月 

図表3. 米国プライベートエクイティのドライパウダー (単位:十億米ドル)
C.   投資家の視点:ダウンサイドの軽減と安定した利回り

ミドルマーケットのシニア担保付ローンにはダウンサイドを有効に軽減できる構造上の利点があります。まずこれらのローンは資本構造の最上位に位置しており、実質的に発行体の全資産で担保されています。さらに、ミドルマーケットのローンが少数の貸し手グループによってテイラーメイドで作られる取引であることを考えると、引き続き貸し手に有利な契約を維持することができます。おそらく最も重要なのは、借り手の状況が変化した場合に貸し手が借り手に積極的に関与することができるコベナンツを含められる点です。さらに、ミドルマーケットのローンはインフレリスクをヘッジできる変動金利であることや、期限前返済の場合に借り手が貸し手に補償するコールプロテクションなどのメカニズムがあることも特徴としてあげられます。

ミドルマーケット向けのダイレクト・レンディングは、引き続き魅力的なリスク調整後リターンを生み出すと思われます。過去10年間、コア・ミドルマーケットのシニア担保付きローン(ファーストリーエン、ユニトランシェ)は毎年7-8%のレバレッジなしのイールドを安定して提供してきました。重要な点は、ベースレートの大幅な上昇に加えて、クレジット・スプレッドやOID(発行時割引)もやや拡大したため、ダイレクト・レンディングのイールドが2022年には10%超の水準に大きく改善したことです。

図表4. ダイレクトレンディング・ユニバースのイールド(レバレッジなし、シニアローンのみ)

コア・ミドルマーケットのスプレッド・プレミアムは、コア・ミドルマーケットがより非効率な市場であることに加え、資産クラスの固有の非流動性によるものと考えています。ダイレクト・レンディングの多くはバイアンドホールド戦略です。ローンの満期は通常5〜7年ですが、実際の期間は通常3年未満です。流動性の高い債務の提供と比較すると、市場の非流動性と非効率性に対する見合いとして、一般的にはこの資産クラス全体でプレミアムが見られます。

 

II. 市場セグメンテーション

ミドルマーケット向けのダイレクト・レンディングのユニバースは、ローワー・ミドルマーケット、コア・ミドルマーケット、アッパー・ミドルマーケットと企業価値に応じて大きく3つの市場に分類できます。

図表5. ダイレクトレンディングのセグメント

インベスコのダイレクト・レンディング戦略は、様々な要因によって魅力的なリスク・リターンプロファイルとなりやすいコア・ミドルマーケットを主なターゲットとしています。コア・ミドルマーケットの区分については、企業価値が1億ドルから7億5000万ドル、EBITDAが1000万ドルから7500万ドル、借入枠が5000万ドルから4億ドルの企業として定義しています。

コア・ミドルマーケットは、対象とする規模、投資戦略、資産に応じて変化する数十のクレジットプラットフォームに細かく細分化されています。これらのプラットフォームは多くの場合ジェネラリストであり、互いに協働し合っているか、もしくはクラブディールで投資をする傾向があります。こういった背景で、より競争が少なく、より協調的な環境が生まれ、それがより「貸し手優位」な価格設定と取引条件につながります。さらにアッパー・ミドルマーケットでは貸し手にとって有意なメンテナンス・コベナンツを取引条件に盛り込むことが減っていますが、コア・ミドルマーケットではこれらのコベナンツが依然として存続しています。このような融資契約により、貸し手は問題が出てきた場合でも、高まったレバレッジの解消を促したり、キャッシュの流出を制限したり、さらに包括的に担保価値を保全したりなど早期に積極的に取り組むことができ、結果として貸し手の利益を保全することができます。インベスコの見方としては、コア・ミドルマーケットの企業との融資契約においてメインテナンス・コベナンツは引き続き維持されると思われ、この傾向は今後も続くと考えています。

対照的に、アッパー・ミドルマーケットは主に大規模な運用残高と投資資金を備えた大規模なプラットフォームの少数のグループで構成されています。この市場は非常に競争の激しい市場です。現在、大規模なプラットフォームは多額のドライパウダーを抱えていることに加え、運用中のポートフォリオでは返済された資金を再投資する必要があり、同時に投資のための追加資金を集め続けています。そのため、貸し手は借り手に単独で色々な資金を提供しようとして競争が激化します。さらに、これらのプラットフォームは従来の資本市場とも競合しています。この市場の発行体の多くは、大規模で流動性のあるシンジケート市場またはパブリック市場を使って低コストでの資金調達するのに十分な企業規模です。この市場セグメントは、多額の資金を投下したいとか、取引価格と取引条件を犠牲にしてでも大型のマンデートを獲得したいと考えているプラットフォームには最も望ましいと思われます。

 

III. ミドルマーケットでの執行

ミドルマーケットでのレンディングの成功は、多くの要因に基づいています。これらのうち、ジェネラルパートナーがミドルマーケットローンで提供できる価値提案という観点では、主に以下の3つの要因であると考えています。それは、1)投資機会のソーシング能力を備えた経験豊富なチームとプラットフォーム、2)チーム内に組み込まれた専門性を活用して高いクオリティでセクター調査を行う能力、そしてますます重要になっているものとして、3)投資プロセス全体を通してESGの観点を体系的に統合する能力です。

 

A. ミドルマーケットのソーシング:魅力的な投資機会

ミドルマーケットでのローン組成には、広範囲にわたるプライベートエクイティ・スポンサー、アドバイザー、サービス・プロバイダー、経営陣との強力なつながりや直接的な関係が必要です。スポンサーは、長い実績、高い評判、信頼関係を持つ経験豊富なプロフェッショナルやプラットフォームから継続して資金調達しようとします。不思議ではないですが、この市場ではそういったスポンサーが閉鎖的な空間を構成していることで知られています。そうしたことから、スポンサーや発行体と緊密な関係のあるプロフェッショナルを配置して、さまざまな資金源を借り手に提供できるようなプラットフォームに適した市場と言えます。

インベスコのソーシングネットワークには、3つの重要なポイントがあります。最初のポイントは、最も差別化されている部分になりますが、インベスコの運用チームメンバーが何十年にもわたって関係を築いてきたプライベートエクイティ・スポンサーとの長年の信頼関係です。インベスコの運用チームメンバーは25年間ミドルマーケットに資金調達ソリューションを提供してきた経験がありますが、信頼できるパートナーから継続して資金を調達しようとする幅広いミドルマーケットのプライベートエクイティ・スポンサーとの間に長年の関係を築いています。2つ目のポイントは、市場をリードしているシンジケートローン・ビジネスで培った機関投資家同士の連携を活用できることです。インベスコのシンジケートローンのプラットフォームは800以上の発行体に資金を提供しており、投資額は380億ドルを超えております。このように、シンジケートローンで洗練されたプラットフォームを活用できることはミドルマーケットへのアクセスにおいても大きなシナジー効果を発揮します。さらにインベスコのプラットフォームでは、200を超えるプライベートエクイティに250億米ドルを超えるローンを提供しています。インベスコはグローバル規模でプライベートエクイティにローンを提供する大手であり、ローンにおける連携強化を目指す多くのプライベートエクイティ・スポンサーと強力な関係を維持しています。最後のポイントは、インベスコの運用チームメンバーがこれまで数十年にわたるミドルマーケットでのデット・ファイナンス経験で培ったもので、アドバイザー、サービスプロバイダー、経営陣といったネットワークとの直接的なつながりです。これらを合わせると何百にもおよぶ潜在的な投資機会につながる可能性があり、これによってインベスコ独自の差別化された投資機会を今後も創出していけると考えます。

図表6. インベスコのダイレクトレンディングにおけるソーシングネットワーク
B. デューデリジェンス

ミドルマーケットの案件の引受けには、借り手の健全性を完全に評価するためにボトムアップでのファンダメンタルズ調査が必要です。従来のデットでの戦略とは異なって、ミドルマーケットのローンのポートフォリオは一般的に流動性の低いポジションで構成されているため、貸し手は資金が返済されるまでポジションを保有し続けることになりがちです。発行体のビジネスモデルの持続可能性や、その債務返済能力に影響を与えそうな潜在的課題を理解するには、発行体を包括的に評価する必要があります。さらに、発行体にはそれぞれのセクター固有の事情があり、発行体のパフォーマンスやリスクを適正に評価してセクター固有の懸念点を特定するためには、セクターの知識を持つことが非常に大切です。その結果として、セクター固有の専門知識を持ち、セクターと広範なつながりがあるプラットフォームは効果的かつ効率的に案件を引き受けることができるため、自然にスポンサーから選好されることになります。

インベスコのデューデリジェンス・アプローチでは投資機会を徹底的に調べますが、それによってファンダメンタルズ面で投資テーマを評価し、その投資機会が社内の主な投資基準を満たしているかどうかを判断します。これには、ビジネスモデルの包括的なレビュー、業界のファンダメンタルズの理解、財務分析および法務面でのレビューなどが含まれます。インベスコの戦略において中心となるのは、投資プロセス全体を通じてプラットフォームが持つ経験豊富な各セクターの専門家を活用することです。インベスコが有する業界の専門知識は、市場における有意な差別化要因と考えます。ほとんどのダイレクト・レンディングにおけるプラットフォームは、ディールのソーシングと評価において、専門家というよりもジェネラリストのアプローチを採用しています。一方、インベスコは、ローン市場で最大規模のセクター別チームを有する1社として、20人以上のインベストメント・プロフェッショナルが全ての主要セクターをカバーしています。

 

C. ESG

この10年間で、顧客はクレジット投資のポートフォリオにESGを考慮したものを採用することにますます関心を持つようになりました。このようなESGへの関心の高まりは、世界の資本市場の発展にとってプラスに作用するものと考えています。しかし、ESGを考慮して投資プロセスに統合する動きは、パブリック市場の資産クラスにおいて最も顕著に拡大した一方で、プライベート市場においては、その構成銘柄についてESG評価プロバイダーからデータがあまり提供されていないため、実施にはより大きな困難を伴うことが明らかになりました。

インベスコのプラットフォームでは、顧客の声に耳を傾けて、プライベート・クレジットにおけるESGの統合の最前線に立つことを目指して2015年に発行体ごとにESGを考慮した投資プロセスを導入し、特にプライベート・シニアローン投資に適した独自のフレームワークを構築しました。 その後、ESGの分析能力の構築と強化を続け、プライベート・クレジットのプラットフォーム全体でこの手法を利用して800超の発行体を評価しており、現在90億ドル超のプライベート・クレジットにおけるESG戦略を運用しています。

インベスコのダイレクト・レンディングチームは、運用開始以来このフレームワークを活用し、投資プロセス全体を通じてミドルマーケットローンでもESG項目を同様に評価しています。ミドルマーケット独自の性質を考慮して、インベスコではESGに関するダイレクト・レンディング投資へのアプローチで、下記図表の4つの要素に着目しています。

図表9. インベスコのダイレクトレンディングにおけるESGアプローチ

ダイレクト・レンディングにおいてESGを導入する主な原動力は、経営陣やスポンサーとエンゲージメントできるインベスコの能力と考えています。インベスコのダイレクト・レンディング運用チームは、引受やデュー・デリジェンスにおいて、また、保有期間を通じて、発行体と定期的に対話を続けています。さらにインベスコの体系的な枠組みを用いて、ESGリスクおよび考慮すべき事項を包括的に評価することができます。スポンサーや経営陣との直接対話に加えて、ダイレクト・レンディング運用チームでは、これまでESG評価の枠組みを用いて800超の発行体を評価してきたプライベート・クレジット・プラットフォームに属する20名超のセクター・アナリストの専門知識や独自の知識を活用しています。

中規模の企業はESGを積極的に取り入れる体制が整っていないことが多いため、財務面や非財務面を含めて、こうしたESGに関する原則や取り組みがどのように相互の利益につながるかについて、早い段階でESGの考え方を伝える機会がよくあります。これまでの経験では、中規模の企業とのこういったやり取りは、当該企業の経営陣やスポンサーから好ましく受け止められ、ESGの評価の観点、各セクターにおけるESGの相対的な位置づけ、ESG改善に伴う機会や利益について、より詳しい情報を求められることもよくあります。

最後におそらく最も重要なことですが、インベスコのアプローチでは具体的で実行可能なESGイニシアチブの採用を促進するために、定期的なエンゲージメントを継続して実施しています。具体的には、投資先企業と緊密に連携してESGに関する取り組みを特定し、その進捗状況や変化のメリットの追跡の他、定期的なエンゲージメントによるフォローアップによって、ポジティブで具体的な変化をもたらすことを目的としています。

 

IV. 留意事項

このホワイトペーパーは、流動性プレミアムからくる比較的高く安定したインカム水準や低いボラティリティを含め、ダイレクト・レンディング投資における潜在的なメリットの概要を示したものです。これらのメリットは、長期投資を行いながら高い利回りを獲得したい投資家にとって魅力的な投資機会を提供するものと考えます。ダイレクト・レンディングへの投資は、発行体のデフォルトおよびその後の回収など他のシニア担保付ローン投資と同様のリスクがあります。これらのリスクは、案件の引受に対するマネージャーのアプローチの違い、資本構造におけるクレジットの優先順位、ローン契約やコベナンツの厳しさ、不測の事態に株主が発行体を支援する能力などによって、その大きさが変化します。そのため、ダイレクト・レンディング運用において資産配分や執行がリターンに与える重要性を踏まえると、マネージャーの選択がきわめて重要になると考えます。

 

V. 結論

低い利回りの環境下において、ミドルマーケットのダイレクト・レンディングは高いインカム収入が期待できることから魅力的な投資機会を提供すると考えます。インベスコでは、信頼できるプライベート・エクイティ・スポンサーと協力しながら、ファンダメンタルズが健全な企業を保守的に評価しつつ、資本構造の最上位に位置するローンへの投資を行ってポートフォリオを構築していきます。インベスコは経験豊富なミドルマーケットチームと幅広いプラットフォームを活用して差別化されたソーシングを行い、ESGの観点のインテグレーションを含めた厳格なデューデリジェンスを実施します。そうすることで、魅力的なインカム収入を目指しながら、ダウンサイドリスクの軽減に寄与する保守的で耐久性の高いポートフォリオを構築できると考えます。
 

当運用戦略(ダイレクト・レンディング)に関する投資リスク

当運用は、値動きのある米ドル建てのミドルマーケットローン等への投資を行います。組入れたミドルマーケットローンの価格の下落や金利動向等のほか、借り手の倒産や財務状況の悪化およびそれらに関する外部評価の変化等により、ミドルマーケットローンの価格が変動し、損失を被る可能性があります。したがって、投資家の皆様の投資元本は保証されているものではなく、投資対象であるミドルマーケットローン等の価格下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
主な投資リスクは次のとおりです。

信用リスク:
ミドルマーケットローンの価格は、借入企業の財務状況の悪化などの信用状況の変化、もしくはそれが予想される場合、価格が下落することがあります。また、利息および償還金をあらかじめ決定された条件で支払うことができなくなった場合(デフォルト)、またはできなくなることが予想される場合には、ローンの価格が大きく下落することがあります。担保の状況によっては投資元本に対して担保の価値が充分でない場合もあります。

価格変動リスク:
ミドルマーケットローンの価格は、政治・経済情勢、発行企業の業績、市場の需給等を反映して変動し、下落することがあります。また、発行企業が経営不安、倒産等に陥った場合には、投資資金が回収できなくなることもあります。

担保価値変動リスク:
通常、融資実行時には融資額と同程度以上の担保が設定されますが、市場環境の変化によって担保価値が変動し、ミドルマーケットローンの価格が下落することがあります。

金利変動リスク:
投資するミドルマーケットローンの大半は変動金利であるため、金利の上昇(低下)による価格の変動は固定金利の資産に比べて相対的に小さなものになると想定されますが、金利変動局面やスプレッド拡大局面では、その影響を受けてミドルマーケットローン価格が下落することがあります。

流動性リスク:
ミドルマーケットローンは、一般的に流動性や市場性が低く、期待される価格や希望する数量を売却できないことがあります。

為替変動リスク:
為替レートは、各国の金利動向、政治・経済情勢、為替市場の需給、その他要因により大幅に変動する場合があります。組入外貨建資産について日本円で評価する際、当該外貨の為替レートが円高方向に変動した場合には、損失を被ることがあります。

当運用戦略(ダイレクト・レンディング)に関する費用と税金

投資一任契約に基づいて外国籍私募投信に投資する場合の費用は次のとおりです。

国内特定(金銭)信託における費用・税金

  • 投資一任契約に係る報酬:資料作成時点で受託実績がなく、料率体系が未定のため、表示することができません。
  • 特定(金銭)信託の管理報酬:当該信託口座の受託銀行である信託銀行にお支払いいただく必要があります。具体的料率については信託銀行にご確認下さい。
  • 上記の費用の合計額については、運用状況などによって変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。

投資先海外ファンドにおける費用・税金

  • 実際の投資は日本国外のファンドで行い、国内特定(金銭)信託口座から日本国外のファンドに投資することを想定していますが、投資先ファンドの諸条件については、当資料作成時点では詳細が決定していないため、表示することができません。
  • 投資対象ファンド管理報酬および費用 :ファンドの運用残高によって変動するため、事前に具体的な料率、金額または計算方法は記載できません。
  • その他の費用:
    組入銘柄の売買時に発生する費用、外貨建資産の保管等に要する費用、監査費用 等が発生し、投資先海外ファンドの信託財産中より支払われます。これらの費用は取引量などによって変動するため、事前に具体的な料率、金額または計算方法は記載できません。
  • 上記の費用の合計額については、運用状況などによって変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。

費用の合計

  • 上記の費用の合計額については、運用状況などによって変動するものであり、事前に料率、上限額などを表示することができません。

課税について

  • 非課税要件を満たした年金基金のお客様については非課税となります。

※外貨建資産への投資によって発生する配当、キャピタルゲインに対して、関係国で課される税金を負担する場合があります。

※投資一任契約の締結に際しましては、重要事項説明書ならびに契約締結前交付書面を必ずご確認下さい。

 

当資料ご利用上のご注意

本書は、投資一任契約を通じてインベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が弊社のグループ関連会社が行う投資について説明したものです。本書は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。また過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。本書は取材補助資料であり、特定のファンドや有価証券等についての言及は、あくまで参考情報として提供するものであり投資の推奨や勧誘する意図で提供するものではありません。本文で詳述した本書の分析は、一定の仮定に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。分析の際の仮定は変更されることもあり、それに伴い当初の分析の結果と重要な差異が生じる可能性もあります。当資料について事前の許可なく複製、引用、転載、転送を行うことを禁じます。

また、本書はインベスコのグループ会社の行う投資手法ならびにプロセスを説明するために、過去の一時点における投資行動の具体例、または特定企業・銘柄に対する評価事例を掲示いたしますが、これをもって当該銘柄に対する投資を推薦、勧誘する意図はありません。ポートフォリオ特性値、組入れ銘柄などは、あくまで過去の一時点におけるデータに過ぎず、将来のポートフォリオが同様の傾向、組入れを継続する保証はございません。当資料にてご紹介した運用戦略を活用したファンドを組成することを保証するものではありません。

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