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欧州バンクローン市場、月次アップデート 2024年6月

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2024年6月
2024年5月の欧州バンクローン市場は、相対的に高く安定したインカムがプラスに寄与し、月間トータル・リターンは+1.14%となりました。

Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index(以下「CS WELLI」または「指数」)の2024年5月のトータル・リターンは+1.14%となり、内訳は価格変動が+0.42%、金利収入が+0.72%となりました

購買担当者景気指数(PMI)や景況感などの経済指標が堅調なものとなり、クレジット市場にプラスの影響を与えました。ユーロ圏の5月のインフレ率は市場予想をやや上回ったものの、欧州中央銀行(ECB)は6月の定例理事会で利下げに踏み切ると予想されています(注:その後、ECBは6月6日に開催された定例理事会で政策金利の0.25%引き下げを決定)。一方で、利下げが継続的に実施されるという見方が後退して、政策金利は「より高く、より長く」維持されるとの見通しが広がりましたが、高利回りを追求するバンクローン投資家にとって支援材料となっています。

欧州バンクローン市場は、5月も引き続き堅調に推移しました。経済動向に加えて、CLOからの旺盛な需要が供給を上回っていることで、5月のCS WELLI構成銘柄の平均価格は0.46ユーロ上昇して97.29ユーロ(27カ月ぶりの最高値)となりました1 。また、5月のCS WELLIのトータル・リターンは+1.14%となり、7カ月連続でプラスリターンとなりました1

新規発行バンクローンの平均利回り(3カ月ローリングリターン)

5月のバンクローンの新規発行額は27億ユーロでした(前年同月は6億ユーロ)。また、年初来の新規発行累計額は330億ユーロとなりました。新規発行の多くはリプライシング案件でしたが、発行体が借入コストの削減(および満期延長)を図ったことで、今後の借換に伴うリスクが低下しました。新規発行ローンの利回りは9%近くとなっており、依然として魅力的な水準となっています2 。流通市場ではいくつかのローン価格が額面を上回り、リプライシングの候補と見られていますが、投資銀行のローン組成部門では今夏に向けてかなり多くの案件を見込んでいます。

欧州のCLO市場の新規発行は引き続き堅調(CLO2.0以降の期間で記録的なペース)で、年初来の累計発行額は49案件で約210億ユーロとなりました(前年同期は100億ユーロ)。CLOノート(特に高格付のトランシェ)のスプレッドはやや低下し、リプライシングによるバンクローンのスプレッド低下の影響を相殺しました。CLOノート(AAA格)はEURIBOR+140bp〜150bpの水準で推移しました。

バンクローン供給とCLO需要の推移
リターン:2024年5月

5月のCS WELLIのセクター別リターンでは、林産品/パッケージングが+1.77%と最も高いパフォ-マンスとなり、続いてヘルスケアの+1.58%、製造の+1.57%となりました。今月は全てのセクターがプラスとなり、プラスとなったセクターで最も低いリターンとなったのは、耐久消費財+0.21%でした1

5月のCS WELLIの格付別リターンでは、「CCC」格が+4.92%と最も高く、「B」格が+1.13%、「BB」格が最も低い+0.85%となりました

5月末におけるCS WELLI構成銘柄の平均価格は、前月末比で約0.46ユーロ上昇して97.29ユーロとなりました1 。CS WELLIの3年ディスカウント・マージンは4.68%となり、前月末比で0.22%縮小しました1

 

ファンダメンタルズ

ユーロ圏の2024年1-3月期のGDP成長率は+0.3%と予想を上回りましたが、すべての主要国でプラス成長となりました。力強い成長(+0.7%)を見せたスペインおよびポルトガルを始め、イタリア(+0.3%)などがユーロ圏全体の経済成長を牽引しました。フランスとドイツ(+0.2%)は小幅の成長となりました。

5月の購買担当者景気指数(PMI)は堅調な内容でした。ユーロ圏総合PMIは0.6ポイント上昇して52.3となりました。業種別では、製造業が2.2ポイント上昇して49.6となり、PMI全体の上昇を牽引しました。一方、サービス業は前月と変わらず53.3となりました。製造業の数値は依然として低水準であるものの、伸び率はプラスとなりました。ドイツの総合PMIは1.6ポイント上昇して52.2となり、製造業(3.5ポイント上昇して48.9)およびサービス業(0.7ポイント上昇して53.9)ともに牽引しました。

5月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)は、前年同月比2.6%となりました(予想は2.5%)。また、コア・インフレ率は予想の2.7%を上回る2.9%となりました。コア・インフレ率が強含んだのは、サービス価格が3.7%から4.1%に上昇したことが背景です。エネルギーを除く工業製品価格は0.9%から0.8%に鈍化しました。食品価格も2.8%から2.6%に低下しました。エネルギー価格は前年比0.3%となり、再び上昇しました。

ECBは6月6日の定例理事会での利下げを決定すると見られ、市場では利下げを9割以上の確率で織り込んでいます(注:実際、同日にECBは利下げを決定)。一方、インフレ率が予想を上回ったことで、同行が金融緩和や利下げをより緩やかに進めるのではないかとの思惑が広がりました。9月の再利下げの確率が5割を下回ったことで、5月初時点で予想されていた年内3回の利下げ予想は、年内2回の予想となりました。かかる状況下、ECBの政策金利は高い水準で長く維持されるという見方が増えてきています。

5月末現在、モーニングスター欧州レバレッジドローン指数における過去12カ月のデフォルト率(額面ベース)は1.48%でした3 。過去平均は年率2.85%となりました3

投資機会

景気動向の改善により、バンクローン市場は堅調に推移しています。資金調達コスト(ベース金利+クレジット/マージン・スプレッド)が低下しており、また、CLOなどからのバンクローン需要が引き続き旺盛であることから、年後半にはM&A案件の新規発行が増加すると思われます。全体として、バンクローンの需給環境は引き続き良好です。バンクローンは、底堅い企業業績(デフォルト・リスクの低下)や緩やかな利下げ見通しなどを背景に、投資家の投資対象として引き続き注目されています。図3に示すように、年初来で見ると、バンクローンのボラティリティは低く推移(高いリスク調整後リターン)しており、今年も優れたリターンをもたらすことが期待されています。

年初来での安定したパフォーマンス
各資産の相対リターン
  • 1.

    Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index (CS WELLI)、ユーロ建てヘッジ付き、2024年5月31日現在。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。指数に直接投資することはできません。

  • 2.

    PitchbookDataInc.より、2024年5月31日現在。

  • 3.

    Morningstar European Leveraged Loan Index。過去の平均デフォルト率は、2007年6月1日から2024年5月31日までを対象に集計しています。

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