マーケット・アップデート

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2023年9月

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2023年8月
2023年8月の欧州バンクローン市場は、相対的に高く安定したインカムがプラスに寄与するとともに、価格変動もプラスリターンとなり、月間トータル・リターンは+1.36%となりました

Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index(以下「CS WELLI」または「指数」)の2023年8月のトータル・リターンは+1.36%(年初来で+9.4%)となり、内訳は価格変動が+0.65%、金利収入が+0.71%でした1

8月のバンクローン市場は引き続き堅調に推移しました。8月末のCS WELLI平均価格は、年初の91.56から上昇し、95.90ユーロとなりました。

バンクローン市場が堅調な理由は、以下の通りです。

(1)直近12ヶ月累積のデフォルト率が1.27%と低水準なこと。

(2)クーポンレートが約8.1%と、魅力的な水準であること。

(3)CLOからのバンクローンに対する需要が新規発行による供給を上回っていること。

(4)低成長で安定したマクロ環境の中で、中銀の利上げペースが鈍化していること。

例年同様、8月のバンクローン市場は小動きとなりました。新規発行は4億ユーロと少額にとどまったものの、新規発行案件は概ね投資家にとって魅力的なリターンを提供し続けています。新規発行バンクローンの利回り(3カ月平均)は足元で9.2%となっており、旺盛な需要が見られます。

新規発行市場、流通市場とも、バンクローン需要はCLO取引に牽引されています。CLOノートのスプレッドはタイト化しており、裁定取引の環境が改善しています。例えば、8月の新規CLOノート(AAA格)のスプレッドはEURIBOR+170~175bpの水準まで低下しました(年初はEURIBOR+220bps前後の水準)。スプレッドのタイト化は資本構成の下位のもので顕著になっています。BB格の新規CLOノートはEURIBOR+約750bpディスカウント・マージンで発行され、年初のEURIBOR+1000〜1200bpから大幅に縮小しました。かかる状況下、8月のCLO新規発行額は5件で18億ユーロとなりました。新規CLOの発行が少なかったこともあり、これらのCLOのマネジャーは流通市場でバンクローンを購入し、バンクローン市場全体を押し上げる要因となりました。

9月の上旬にいくつかのCLOの新規発行が予定されるなど、今後の新規発行の積み上がりが見られます。しかしながらM&Aは活発化しておらず、CLOの新規発行がウクライナ紛争前の水準に急速に戻るとは見ておりません。バンクローンの新規発行予定がやや増え、また、CLOノートのスプレッドが縮小したことで裁定取引に妙味が増し、複数のCLOマネジャーが新規発行を行いました。このような需給環境は今後も継続すると見ております。

CS WELLI:クリーン価格指数
リターン:2023年8月

8月のCS WELLIのセクター別リターンでは、情報技術+2.14%と最も高いパフォ-マンスとなり、続いてメディア・通信の+1.82%、不動産の+1.76%となりました。マイナスリターンとなったセクターはありませんでした1

8月のCS WELLIの格付別リターンでは、「CCC」格が+2.28%と最も高く、「B」格が+1.59%、「BB」格が最も低い+0.75%となりました1

8月末におけるCS WELLI構成銘柄の平均価格は前月末比約0.69ユーロ上昇し、95.90ユーロとなりました1。CS WELLIの3年ディスカウント・マージンは5.10%となり、前月末比0.29%縮小しました1

8月のクレディ・スイス欧州ハイ・イールド債券(Credit Suisse Western European High Yield)指数は+0.42%のリターンとなり、スプレッド・トゥ・ワーストは4.64%、イールド・トゥ・ワーストは7.83%となりました2

ファンダメンタルズ

8月のユーロ圏景況感指数(ESI)は4カ月連続で低下し、2020年11月以降で最低となる93.3となって予想値の93.7を下回りました。製造業は-10.3(7月は-9.3)、サービス業は3.9(7月は5.4)、小売業は-5.0(7月は-4.5)、建設業は-5.2(7月は-3.6)、消費関連は-16.0(7月は-15.1)などとなり、これらの数値の低下が見られました。物価面では、消費者インフレ予想指数が5カ月ぶりに上昇しました。ESIはフランス、ドイツ、イタリアで悪化した一方で、スペインとオランダでは改善しました。

8月の消費者信頼感指数は-16となり、7月の-15(2022年2月以来の高水準)から低下しました。昨年9月以来で初めての低下となり、本調査の回答者は家計や国の経済状況が今後悪化すると悲観的になっていると思われます。

8月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)は前年同月比5.3%の上昇に留まりました。内訳を見ると、エネルギー価格は-3.3%(7月は-6.1%)と緩やかな低下となりました。飲食料(アルコール含む)は9.8%(7月は10.8%)、財(エネルギー除く)は4.8%(7月は5.0%)、サービスは5.5%(7月は5.6%)となり、インフレが減速しました。また、コア・インフレ率は予想通り5.3%となり、7月の5.5%から低下しました。

7月のユーロ圏失業率(季節調整済み)は市場予想と同じ6.4%で過去最低水準となりました。前年同月の失業率は6.7%でした。失業率が最も低かったのはドイツ(2.9%)で、最も高かったのはスペイン(11.6%)となり、イタリア(7.6%)、フランス(7.4%)と続きました。

8月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI、改定値)は、フランス、ドイツ、および周辺諸国での下方修正を反映し、速報値47.0から0.3ポイント下方修正されました。イタリア及びスペインの総合PMIは、サービス部門の減速によって低下しました。年後半に向かうなかで、サービス業の急速な悪化によって、ユーロ圏全体の経済成長が予想以上に鈍化したことを示唆しています。

8月末現在、モーニングスター欧州レバレッジドローン指数における過去12カ月のデフォルト率(額面ベース)は1.27%でした3。過去平均は年2.92%となりました3

指数のトータルリターン(%)

 

 

脚注

  • 1

    Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index (CS WELLI)、ユーロ建てヘッジ付き、2023年8月31日現在。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。指数に直接投資することはできません。

  • 2

    Credit Suisse Western European High Yield Indexはユーロ建て、2023年8月31日現在。

  • 3

    Morningstar European Leveraged Loan Index。過去の平均デフォルト率は、2007年6月1日から2023年8月31日までを対象に集計しています。

ご利用上のご注意

当資料は情報提供を目的として、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「当社」)が当社グループの運用プロフェッショナルが日本語で作成したものあるいは、英文で作成した資料を抄訳し、要旨の追加などを含む編集を行ったものであり、法令に基づく開示書類でも金融商品取引契約の締結の勧誘資料でもありません。抄訳には正確を期していますが、必ずしも完全性を当社が保証するものではありません。また、抄訳において、原資料の趣旨を必ずしもすべて反映した内容になっていない場合があります。また、当資料は信頼できる情報に基づいて作成されたものですが、その情報の確実性あるいは完結性を表明するものではありません。当資料に記載されている内容は既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。当資料には将来の市場の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における作成者の見解であり、将来の動向や成果を保証するものではありません。また、当資料に示す見解は、インベスコの他の運用チームの見解と異なる場合があります。過去のパフォーマンスや動向は将来の収益や成果を保証するものではありません。当社の事前の承認なく、当資料の一部または全部を使用、複製、転用、配布等することを禁じます。

G2023-09-006

そのほかの投資関連情報はこちらをご覧ください。https://www.invesco.com/jp/ja/institutional/insights.html