不動産エクイティ証券/デット証券 マーケット・インディケーター(2023年9月末基準)
要約
- 2023年7-9月期の上場不動産証券は、米国、欧州、アジア太平洋の各地域・セクターにわたり、推定正味価値(NAV)に対して大幅なディスカウント水準で取引を終了しました。
- 上場不動産企業のファンダメンタルズは住居、産業施設、特殊施設セクターなどにわたり引き続き堅調である一方、オフィス・セクターについては依然として厳しい状況が続いています。
- 北米およびアジア太平洋市場は、欧州に比べてより良好なファンダメンタルズを示しています。
- 不動産のバリュエーションは全体として、一般的な株式のバリュエーション(PER)と比べて低水準となっています。
- 不動産債券の利回りは、一般的な債券の利回りスプレッドを上乗せした水準を維持しています。1
1. 出所:各種分析資料に基づきインベスコ・リアル・エステート作成。上記の表のパフォーマンスとは異なります。詳細は図表16をご参照ください。尚、不動産デットのユニバースには、米国REIT優先証券、CMBS、REIT投資適格社債等が含まれます。
平均すると、上場不動産企業の株価は推定正味資産価値(NAV)に対して約18%のディスカウントで取引されており、過去の平均値より1標準偏差以上低い水準で取引されています。
ほとんどの上場不動産企業の株価は推定正味資産価値(NAV)に対して大幅なディスカウントで取引されています。ディスカウント水準は香港、大陸欧州、英国、カナダで最も顕著となっています。
不動産の投資利回りは、10年国債にプラスの利回りスプレッドを上乗せした水準となっています。
今後の賃料成長率見通しは、住居、産業施設、特殊施設において良好となっているほか、オフィスについては賃料減少の底入れ兆しが見られています。
北米とアジア太平洋市場が欧州に比べてより安定したファンダメンタルズを示しています。
米国REITの配当とファンド・フロム・オペレーション(FFO)の成長は、成長減速の兆候が見られるものの、依然としてプラスで推移しています。
米国REITの株価は、推定NAVと比較して20%のディスカウント水準で取引されており、過去の平均値より1標準偏差以上低い水準で取引されています。
ほとんどの米国不動産セクターが推定NAVに対して大幅なディスカウント水準で取引されていますが、とりわけオフィス、ホテル、郊外型モール、ショッピング・センターの各セクターでディスカウントが顕著となっています。
米国REITは、利益対比バリュエーションでは米国株式に対して大幅なディスカウント水準のマルチプルで取引されています。
限定的な経済成長と高インフレの環境の中で、欧州の収益成長見通しは依然緩やかに推移しています。
欧州不動産証券の株価は、過去20年間で推定NAVに対して最大のディカウント水準で取引されています。
欧州では、利益対比バリュエーションで不動産証券と欧州株式市場の予想PERが収束し始めています。
アジア太平洋地域ではCOVID後の経済再開の恩恵を受け、収益成長率は引き続き健全な水準を示しています。
アジア太平洋地域では、株価は推定NAVに対してディスカウント水準で取引されており、長期平均を大きく下回っています。
アジア太平洋地域では、利益対比バリュエーションで不動産証券とアジア株式市場の予想PERが収束し始めています。
2023年1-9月期では、米国REIT優先証券と米国REIT投資適格社債のトータル・リターンは、CMBSをアウトパフォームしました。
不動産債券全般の利回りは、一般的な債券に比べてより魅力的な水準となっています。
CMBSや米国REIT優先証券を含む不動産デットのスプレッドは依然として総じて縮小しています。
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