グローバル・ビュー
【臨時レポート】グローバルな株価の下落が続く
今後のカギは①欧米での感染拡大と➁FRBの姿勢
米国本土での新型肺炎の感染拡大が意識され始めたことで、 ドル独歩高と米国株独歩高の巻き戻しが加速してきました。
今後の金融市場の短期的なカギを握るのは、①欧米での感染拡大がどの程度進行するか、②FRB(米連邦準備理事会)から今後の利下げについての踏み込んだメッセージが出てくるか、という2点です。
日本市場については、今週に入ってからは米国市場に合わせて株価が下落する動きとなっていますが、今後の懸念材料としては、米国株下落だけではなく、円高の動きが懸念材料です。
「米国一極集中」からの巻き戻しが加速
米カリフォルニア州での、新型ウィルスへの感染の可能性から8400人がモニターされているという報道は、欧州での感染拡大によって動揺していた米国株式市場をさらに揺さぶり、S&P500株価指数は今週月曜日(2月24日)以降、4日連続で下落しています。欧州での感染拡大が、「ドル高、米国株高、米債券高」という年初来の「米国一極集中」の構図を揺さぶった点については、弊社グローバル・ビューレポート2月26日号「『米国一極集中』の構図が揺さぶられる」で触れた通りですが、米国本土での感染拡大が意識され始めたことで、この動きが加速しています。ユーロの対ドルレートは、この4日間で1.4%上昇、円の上昇幅は1.8%に達しました。米国株式の欧州株式・日本株式に対するプレミアムも大幅に縮小してきました(図表1)。
今後のカギは、①欧米での感染拡大と➁FRBの姿勢
今後のカギを握るのは、①欧米での感染拡大がどの程度進行するか、②FRB(米連邦準備理事会)から今後の利下げについての踏み込んだメッセージが出てくるか、という2点です。①については、米国の株式市場は、米国での新型肺炎の感染拡大をかなり織り込んだと考えられますが、実際に欧州や米国で感染問題が拡大すれば、広範な業種で株価が下振れる可能性があります。②FRBについては、パウエル氏の議長就任以降は、株価の大きな下落局面では利下げへの積極姿勢を示すことで、株価の大幅な下落を抑制してきたと言えます。株価の大幅な下落による米国実体経済への影響は看過できないと考えられますので、株価がさらに落ち込む局面では利下げに向けての踏み込んだ発言が予想されます。
日本市場では円高リスクが懸念材料
日本市場については、今週に入ってからは米国市場に合わせて株価が下落する動きとなっていますが、今後の懸念材料としては、米国株下落だけではなく、円高の動きが懸念材料です。新型肺炎の感染拡大という大きなリスク・オフ局面にあったにもかかわらず、先週末まで為替が円高に振れなかったのは、グローバル市場でのドル独歩高という構図があったためと考えられます。したがって、今週に入ってドル独歩高の構図が崩れはじめると同時に、円高の動きが生じたことは自然な流れであったと思われます。日本の株価がアジアの多くの国の株価よりも下落率が大きかったのは、日本企業が欧米での積極的な事業展開を行っているという点だけではなく、円高要因が作用していたとみられます。今後、欧米での感染拡大が進行したり、FRB高官が利下げに向けての踏み込んだ発言をする場合は、1ドル=105円程度まで円高が進行し、日本の株価に悪影響が及ぶリスクがあります。
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