Snapshot

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2019年9月

欧州バンクローン市場、月次アップデート 2019年6月

要旨

-  2019年8月の欧州バンクローンの月間トータル・リターンは+0.05%

-   投資センチメントが悪化

-   供給は限定的だが、流通市場は比較的活発

-   9月は発行の活発化を期待

2019年8月の欧州バンクローンの月間トータル・リターンは+0.05%

欧州のバンクローンを対象としたCredit Suisse Western European Leveraged Loan Index(CS WELLI)の2019年8月のトータル・リターンは+0.05%(うち、金利収入が+0.35%、価格変動は-0.31%)で、年初来では+3.61%となりました 1

投資センチメントが悪化

8月の市場は、(i)米中貿易戦争が激化したこと、(ii)米国、中国、ドイツにおける弱い経済指標に注目が集まったこと、(iii)新しい英国首相が、英国のEU離脱(Brexit)のニュースを炎上させたこと、この3点が特徴的でした。米国国債市場における2年金利と10年金利の逆転(10年金利が2年金利よりも低くなったこと)は、潜在的な利下げのタイミングや下げ幅についての話題がリサーチやストラテジー・レポートを席巻し、米国の景気後退懸念を高めました。

供給は限定的だが、流通市場は比較的活発。

欧州における8月のローン発行額は3億3,300万ユーロと薄く、昨年の発行額と同水準で、休暇シーズンに典型的に見られる夏枯れの様相を呈しました。いくつかの小さな発行が見られましたが、リボルビング・クレジット・ファシリティ(RCF)の返済向けのものが中心でした。同様に、欧州のCLO発行も今月は非常に少額でした。

新規発行が少ない中、流通市場の比較的活発な取引を反映して、CS WELLI 構成銘柄のうち、ユーロ建ての銘柄のリターンは、8月月間で+0.22%となりました。一方で、指数の約28%を占める米ドル建ての銘柄のリターンは、前述のマクロ経済要因により▴0.38%のリターンとなりました。

9月は発行の活発化を期待

パイプラインが充実してきており、9月は発行が活発になることが期待されます。S&Pレバレッジド・コメンタリー&データ(LCD)のフォワード・ローン・カレンダー(発行予定)は、 2、3件の数十億規模の「ジャンボ」取引を含め、110億ユーロを超えており、CLOは13件、46億ユーロの発行が予想されています。前述の広範にわたる地政学リスクが高まることにより、AAA格のスプレッドがさらにタイトになると期待されています。

欧州中央銀行(ECB)は、向こう2、3週間以内に、欧州の景気刺激策を発表すると予想されており、これは欧州バンクローン市場に良い影響を与えそうです。

CS WELLI の市場規模は、8月末現在で3,110億ユーロとなり、年初来9.6%増加しました1

リターン

8月のCS WELLI のセクター別リターンでは、小売セクターが+0.51%と最も好調で、非耐久消費財セクターが+0.44%で続きました。一方、航空宇宙セクターは▴3.19%となったほか、金属・鉱業も▴0.91%と不調でした1

格付け別では、B格のリターンが+0.19%と堅調で、BB格は+0.07%、CCC格は▴0.85%となりました1

8月末のCS WELLI の平均価格は97.96ユーロで、前月末比0.19ユーロ下落しました。CS WELLIの3年ディスカウント・マージンは4.22%と、月間7bps上昇しました1。これに対し、クレディスイス欧州ハイ・イールド債券(Credit Suisse European High Yield)指数は、8月+0.88%のリターンとなり、オプション調整済みスプレッド(spread to worst)は4.24%でした2

ファンダメンタルズ

ユーロ圏の購買担当者景況感指数(PMI)は47.0でした。特にドイツの数字が速報値43.6、確報値43.5となり、減速を印象付けました。ドイツの2019年第2四半期のGDPは前四半期比▴0.1%(速報値から修正なし)となりました。英国の製造業PMIは47.4となり、85か月ぶりの最低値となりました。これは、明らかにBrexitの不確実性を反映しており、製造部門の景況悪化を示す先行指数です。

輸出および製造業の見通しの悪化は、ユーロ圏の成長を圧迫し続けるでしょう。肯定的な面としては、イタリアの新しい親EU連立政権樹立の可能性が高まったことで、イタリアのマクロ経済の発展にある程度の猶予ができたことから、イタリアの10年国債の利回りが1%を付けました。

欧州中央銀行(ECB)は7月25日の前回会合に続き、9月12日に再び会合を開きます。市場は最低でも毎月200〜300億ユーロの量的緩和の再開、10〜20bpsの利下げ、ならびにフォワード・ガイダンスの調整など、一連の(弱気な)措置を期待しています。

8月もデフォルトはありませんでした。S&P欧州レバレッジド・ローン指数における直近12か月のデフォルト率(額面ベース)は0.00%で、過去の平均デフォルト率3.56%を下回っています3。指数においては、例えば、SGB-Smit、PlusServer、Doncasters、Keter、Deoleo、Holland&Barrett、BartecならびにDummen Orangeといった不良債権化した銘柄が増加しつつありますが、割合は依然小さいままです。

最近のインデックス・パフォーマンス

トータルリターン(ユーロ、%)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

2019年

6月

2019年

7月

2019年

8月

2019年

年初来

Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index (EUR-HDG) 8.73 1.96 3.14 6.52 3.30 0.55 0.13 0.44 0.05 3.61
Credit Suisse Western European HY Index (EUR-HDG) 9.10 4.31 1.36 9.63 6.28 -3.85 2.22 0.74 0.88 9.41
出所: Credit Suisse、2019年5月31日現在。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。

脚注

  • 1 Credit Suisse Western European Leveraged Loan Index (CS WELLI)、ユーロ建て、2019年8月31日時点。
  • 2 Euro Stoxx Banks Index (EUR)、2019年8月31日時点。
  • 3 S&P European Leveraged Loan Index、過去の平均デフォルト率は2007年6月1日から2019年8月31日までを対象に集計しています。

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