海外資産への投資で為替リスクに備える!
為替のリスクを新しいマインドで考えてみる
今回も、人生100年時代の資産形成における「お金のマインド・シフト」を学んでいきましょう。前回は、社会をより豊かにする「働くことによる社会参加」と、「お金を使うことによる社会参加」の正解は、時代と共に異なることを紹介しました。今回は、資産形成においてリスクが高いと思われがちな「為替」についての新しい考え方を紹介したいと思います。
今までのマインド:
海外投資は、リスクを高める行動である(為替リスクが上がる)
新しいマインド:
海外投資は、リスクを低くする行動である(為替リスクが下がる)
令和時代の日本人にとって、より一層大切となる「海外資産(外国株式、外国債券、外貨預金など)への投資」を進める時には、円とドル、円とユーロなどの「為替」が関わってきます。日々のニュースでは為替レートの変動が報道されますし、それに影響を受ける海外資産への投資について心理的な抵抗となるのが、この為替の存在ではないでしょうか。
そもそも為替とは、異なる2つの通貨の交換比率を示すものですが、その交換比率(為替レート)は、それぞれの国の豊かさの相対感によって変わってきます。例えば、1970年代まで1ドル360円であったドル円の為替レートは、日本が高度経済成長を経て急速に豊かになる中で、1980年代の終わりには1ドル100円程度までになりました(円高)。一方、日本経済の成長率が低かった平成の約30年間のドル円為替レートは、始まりと終わりで、ほぼ同じ水準でした。
では、なぜ、海外資産への投資で、為替リスクを下げることができるのか、その理由について次章で解説します。
輸入品の価格変動などで知らぬ間に為替の影響を受けている
私たち日本人は、日本に住み、海外資産を全く持たずに日本で預貯金だけをしていても、実は為替変動の影響を大きく受けています。以下のような状況の中で、海外から輸入しているモノやサービスの値段が、為替相場によって変わってくるからです。
- 日本はエネルギーや食料品など、生活必需品の多くを輸入に頼っている
- 日本の日常には、外国のモノやサービスが溢れている
例えば、毎日の食卓から為替を考えてみましょう。現在、日本の食料自給率は40%弱です。米や野菜などはほぼ自給していますが、大豆や小麦は8割以上を輸入に頼っています。食肉や魚の自給率は半分ほどではありますが、家畜の飼料であるとうもろこしは、ほぼ100%が輸入です。そして、農産物を最も多く輸入している相手国は、米国です。例として、1ドル=100円から1ドル=200円に円安が進むケースで考えてみましょう。このように大幅な円安が進むと、私たちがスーパーマーケットで買う、うどん、そばやパン(小麦が原料)、味噌や豆腐(大豆が原料)、食肉(その家畜の飼料はとうもろこし)の店頭価格は、大きく値上がりする事になります。また、日本は原油についてもほぼ100%を輸入していますので、これも電気代やガソリン代などを通じて、私たちの日々の生活を圧迫します。
このように、ドル・円の為替相場は、私たちの生活に密接に関係してきます。端的にいうと、円安になると、物価上昇により、日々の生活費が増えて家計を圧迫してしまうのです。反対に、円高は日本が海外からモノを買う時の購買力を引き上げることになるので、同じような心配は要りません。
為替というと、短期的な円高や円安などの動きによる金融資産への影響という意味での、為替リスクが注目されがちです。(保有する海外資産の円換算額は円高で減少し、反対に円安で増加します。)ただし、長期の資産形成においては、より長期的な、そして生活などを含めたより広い視点で考えることが大切であると考えます。前章で見たように、長期で見た円高は、日本人が世界の中で相対的に豊かになっていくことであり、反対の円安は貧しくなっていくことです。そして、私たちは金融資産を活用して、この後者の事態にそなえる(リスク・ヘッジをする)ことができます。
それは、お金を海外資産へ投資しておくことです。上記の例で言えば、例え大きく円安が進み輸入している食料などの価格が上昇しても、米国の金融資産をしっかり持っておけば、慌てる必要はありません。
広い視野を持って海外資産への投資を考える
そして生活面まで含めた「為替の本当のリスク」に備えるための正解は、時代によって異なってきます。日本が海外の先進国と比較して人件費が安く、企業の海外進出が進んでいなかった昭和の時代までは、円安が生活に与えるマイナスの影響は、日本から海外への輸出が伸びるという形で国レベルで相殺することができました。
しかしながら、日本が先進国となり人件費が高くなり、人件費が圧倒的に安い新興国に追い上げられている現代には、昭和の時代のような考えはあてはまりません。先進国となった国が輸出していけるものは、為替のサポート(円安)があるから売れるモノやサービスではなく、為替水準に関係なく売れる独自性の高い高付加価値品です。
令和時代の私たちは、自国の通貨安に対するリスク・ヘッジを、国レベルではなく個人レベルで考えて、備える必要があります。それは、海外資産をしっかりと保有することであり、それを当たり前の状態にしておくことだと考えています。
今回は、為替リスクにより怖いと思われがちな海外資産への投資は、時代背景や生活全般を含めて考えると、むしろリスクを下げる行動となることを紹介しました。為替による海外資産の表面的な価格変動に一喜一憂するのではなく、広い視野を持つことが重要なのです。
今の時代にあった、自分達にとって本当に必要な資産を選択する目を持つことが、人生を豊かで幸せにする金融商品選びにおいて大切となります。人生100年時代、これからも人生と社会を豊かにするための、新しいお金との付き合い方を学んでいきましょう。
ご注意事項
-
当資料は情報提供を目的として作成してインベスコ・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」といいます。)が作成した資料であり、弊社が特定商品の勧誘を行うものではありません。
当資料の中で記載されている内容は当資料作成時点のものであり、今後予告なく変更されることがあります。
当資料に記載された一般的な資産運用に関する情報及びそれらの見解や予測は、資料作成時点における見解であり、いかなる金融商品への投資の助言や推奨の提供を意図するものでもなく、また将来の動向を保証あるいは示唆するものでもありません。
また、当資料に示す見解は、インベスコの他の運用チームの見解と異なる場合があります。本文で詳述した本書の分析は、一定の過程に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。分析の際の過程は変更されることもあり、それに伴い当初の分析の結果と重要な差異が生じる可能性もあります。
当資料について弊社の事前の許可なく複製、引用、転載、転送を行うことを禁じます。
投資信託について
-
- 投資信託は、国内外の株式や公社債、コモディティなどの値動きのある先物取引や有価証券等を投資対象とし、元本が保証されているものではなく、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動などにより、基準価額が下落し、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。投資信託財産に生じた利益および損失はすべて受益者に帰属します。また、投資信託は預貯金とは異なります。
-
<主なリスク>
①株価の変動リスク、②公社債にかかるリスク、③コモディティの価格変動リスク、④信用リスク、⑤デフォルト・リスク、 ⑥流動性リスク、⑦カントリー・リスク、⑧為替変動リスク、⑨中小型株式への投資リスク、⑩デリバティブ(金融派生商品)に関するリスク、⑪不動産投資信託証券の価格変動リスク、 ⑫バンクローンにかかるリスク、その他の留意点などがあります。- 投資信託は、個別の投資信託ごとに投資対象資産の種類や投資制限、取引市場、投資対象国などが異なることから、リスクの内容や性質が異なりますので、ご投資に当たっては投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面をよくご覧ください。
- 投資信託は預金や保険契約と異なり、預金保険機構または保険契約者保護機構の保護の対象ではありません また、登録金融機関は投資者保護基金には加入しておりません。
- 分配金の支払いおよびその金額は、収益分配方針に基づき委託会社が判断します。そのため、分配金は支払われない場合があり、あらかじめ一定の額の分配金のお支払いを保証するものではありません。
- ファンドのお取引に関しては、金融商品取引法第37条の6の規定(いわゆるクーリングオフ)の適用はありません。
- ご投資に当たっては、お客さまに以下の費用をご負担いただきます。
・購入時手数料 ・・・・・・・・上限 3.85%(税抜3.5%)
・運用管理費用 ・・・・・・・・上限 2.123%(税抜1.93% )
・信託財産留保額 ・・・・・・上限 0.3%
・その他の手数料等 ・・・・・ 上記費用の他に、保有期間などに応じてご負担いただく費用があります。
投資信託説明書(交付目論見書)、契約締結前交付書面等でご確認ください。
当該費用の合計額については、投資者の皆様がファンドを保有される期間等に応じて異なりますので、表示することができません。記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。費用の料率につきましては、インベスコ・アセット・マネジメントが運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の料率を記載しています。投資信託に係るリスクや費用は、それぞれの投資信託によって異なりますので、ご投資をされる際には、事前によく投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面を販売会社よりあらかじめまたは同時にお渡ししますので、必ず内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。運用による損益はすべて受益者の皆様に帰属します。
お申し込みの際は、必ず各ファンドの「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。