投資とは、働かずしてお金を得ること?
日本では働くことに対して大きな美徳を持っている人が多い
今回も、人生100年時代の資産形成における「お金のマインド・シフト」を考えていきましょう。「投資」と聞くと、単なるお金もうけを連想したり、その本質は「働かずして楽してお金を得る」と考えたりで、何だか後ろめたいと感じる方が多くいらっしゃるかもしれません。しかしながら、実際の本質はまったく異なるものです。今回は、投資の本質、その中でも、なぜ投資から収入が得られるのか、投資が実体社会でどういう役割を果たしているのかを、考えていきたいと思います。
今までのマインド:投資とは、働かずしてお金を得ることである
新しいマインド:投資とは、社会を豊かにし、その豊かさの一部を得ることである
日本で投資についての話をすると、「投資とは不労所得である」という言葉をよく聞きます。そして、多くの場合、この「不労」という言葉にはネガティブな印象が込められているように感じています。日本は、「働く」ことに対して、大きな美徳を持っている社会です。昨今の働き方改革で多様な考え方が出てきてはいるものの、「長時間働くことは素晴らしいことだ」と心の中で考えている方は、海外と比較すると相当に多いのではないかと感じます。
頭の中で、汗水を垂らして働いてお金を得るという正しい行いの反対が、働かずしてお金を得る投資(不労所得)であり、それはすなわち悪いことだ、と無意識に考えている方もいらっしゃるように感じます。その延長線上で、ギャンブルでない、社会の豊かさに根付いた本来の正しい投資に対しても良い印象が持てない、という方もいらっしゃるように思います。
投資とは世の中の豊かさや幸せを作るタネ
そもそも、私たちが投資を行って、それによる収入を長期で得ることは、社会のために好ましくない活動なのでしょうか?もし、そのようなマインド・セットを多くの日本人が持ち続ければ、日本が豊かさを失っていく時代が続いてしまうでしょう。なぜなら、投資の本質は、その真逆であるからです。
投資とは「世の中の豊かさや幸せを作るタネ」です。そして、投資からの収入とは、投資により社会が長期で豊かになったときに、その一部を受け取ることです。植物に例えると、投資というタネが、茎を伸ばし、花を付け、実を結ぶことで、果実、つまり投資におけるプラスの収入を受け取ることができるのです。
身近な例として、小学生のお子様を教育するという「投資」を考えてみましょう。多くの親御様はお子様のために、食事の支度をし、計算や漢字を教え、習い事に通わせるなど、たくさんの時間やお金を費やしていると思います。これは、お子様が成長し、ゆくゆくは社会人として自立し、社会を豊かにしていくことへ貢献する大人になって欲しいと思われての事だと思います。企業に新入社員が入社した時の、新人研修なども同じく投資です。お客様へ良いサービスを提供し、社会を豊かにすることに貢献できるよう、それによって企業が成長できるよう、人材に投資します。これらの投資が行われなければ、未来への成長も、その先にある豊かさも限定されたものになってしまうでしょう。つまり、投資というのは、社会を豊かにするために、必要不可欠なものです。
「投資」を通して社会を豊かにしていくという意識を持つ
金融の投資であっても、その本質は、前述の「人」に対する投資と社会の豊かさの関係と同じです。金融の投資とは、投資する資産をお持ちの方が(親子で言えば親に当たります)、社会に成長をもたらし世の中を豊かにする人や活動(親子で言えば子に当たります)に、期待を込めてタネまきを行い(投資)、その成長を長期で見守っていくことです。そして、実際に成長があり社会が豊かになった一部分を、長期的に利益として受け取る活動が投資なのです。
仕事で働くことは、もちろん大事なことですが、それだけでなく、人や社会を応援し、社会全体を豊かで幸せにしていく活動にも、より多くの方が関心を持つのがより良い進んだ社会です。例えば、選挙、ボランティア、金融の「投資」などがそれに当たります。「ボランティアは偽善行為である」とか、「投資は悪いもの」だという思い込みがあるならば、それを一度、外してみることは、私たち自身のためにも大切なことだと思います。
特に、既に先進国である日本においては、私たち一人ひとりが「投資」を通して国内外の社会を豊かにしていくという意識を持ち、その社会的責任を果たしていくことが重要です。人生100年時代、投資の本質を理解し、人生と社会を豊かにするために、新しいお金の考え方を学んで行きましょう。
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投資信託について
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