ブロックチェーン技術×中央銀行 世界の中央銀行がリードする現金のデジタル化
[中央銀行デジタル通貨(CBDC)を理解するための疑問にお答えします!]
・CBDCと電子マネーや暗号資産との違いを教えてください。
・なぜ、CBDCが注目されるようになったのですか。
・CBDCのメリットとデメリットを教えてください。
・各国・地域のCBDCへの取り組みを教えてください。
ブロックチェーン技術を活用した動きの1つとして注目されているのが、各国・地域の中央銀行によって発行されるデジタル化された現金であるCBDCです。最近では、新興国で先行していた導入の動きが先進国へと広がってきています。国際決済銀行(BIS)の2022年の調査では、86ヵ国の中央銀行のうち90%以上がCBDCへの取り組みを行っているとされています*。一見すると一般のキャッシュレス決済手段に似ていることから特徴がつかみにくいものの、今後、現金に代わる身近な存在となり、生活にも大きな影響が出てくる可能性もあります。本レポートでは、CBDCの理解を深めるための基本的な疑問にお答えします。
CBDCは、日本語では「中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)」と呼ばれ、各国の中央銀行によって発行される、デジタル化された現金のことです。民間企業ではなく「国」が発行・管理を行うデジタル通貨のイメージです。
デジタル化されたお金といえば、身近なものは電子マネーでしょう。日常で決済に使うというだけでは、CBDCとの違いがわかりにくいかもしれませんが、両者の大きな違いはCBDCは中央銀行が発行する法定通貨である一方、電子マネーは民間企業が発行するものとなります。ブロックチェーン技術を使った暗号資産も含めて、違いを表にまとめました。
※すべてのCBDCがブロックチェーンを活用しているものではありません。
* BIS Papers No 136 Making headway – Results of the 2022 BIS survey no central bank digital currencies and crypto
各種資料をもとにインベスコ作成
インベスコは、インベスコ・リミテッド並びにインベスコ・リミテッド子会社からなる企業グループで、グローバルな運用力を提供している独立系資産運用会社です。上記は過去のデータであり将来の成果をお約束するものではありません。
各国・地域において導入の理由や背景はさまざまです。まずは、決済インフラが未整備な新興国での導入が進みましたが、それが先進国へと拡大してきています。
- 新興国では、①決済システムが未整備であること、②銀行の支店へのアクセスが困難な地域があること、③銀行口座を保有できない人が多いこと、などの課題を解決するため、スマートフォンを使ったデジタル決済を普及させるため、早い段階から導入が進められてきました。
- 中国や先進国で検討が加速したきっかけは、2019年6月に米国のメタ・プラットフォームズ(当時のフェイスブック)が国境をまたいだデジタル通貨の発行の計画を発表したことでした。この計画は実現しなかったものの、民間企業が通貨を独占し、主要通貨の代替になる可能性が危惧されたため、この後からCBDCの導入への動きが進みました。
- 加えて、急速に進むデジタル化により、キャッシュレス決済が拡大している中、現金もデジタル化社会に対応する必要性が高まってきていることも背景の1つです。また、主要先進国の中央銀行が、暗号資産や民間のデジタル決済手段に中央銀行の役割がとって変わられることを警戒していることも法定通貨のデジタル化を推進させる要因となっています。
CBDCの主なメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 硬貨や紙幣などの製造、輸送、保管、廃棄などにかかるコストを削減
- 銀行やクレジットカードなどの仲介者をなくすことで、店舗が支払う手数料を削減
- CBDCは追跡可能ため、マネーロンダリングや脱税といった現金では把握できなかった不正を抑制できる
- 電子マネーのように、店舗によって使えたり、使えなかったりすることがなくなる
- コストが高く、時間がかかる外国為替の決済が簡略化される
- 特に新興国などで銀行口座などを保有できない人々にスマートフォンなどを通じた金融サービスを提供できる
デメリット
- 中央銀行またはCBDCを管理する仲介業者に決済履歴や預金の取引履歴の情報が管理されることとなり、プライバシーが守られないとの懸念がある
- 預金からCBDCへ資金が大量に流入することとなった場合には、銀行の融資機能が立ち行かなくなる可能性がある
- インターネットを経由した取引となるため、サイバー攻撃を受ける可能性がある
- システム・通信障害や災害などによって使用できなくなる可能性がある
※CBDCのメリットとデメリットすべてを網羅したものではありません。
各種資料をもとにインベスコ作成
すでにCBDCを発行している新興国に加えて、主要先進国も導入に向けた実証実験などを進めています。
※当レポートでは、「インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド」を 「世界ブロックチェーン株式ファンド」 、「インベスコ 世界ブロックチェーン株式ファンド(予想分配金提示型)」を 「予想分配金提示型コース」ということがあります。
3261833-JP