ブロックチェーン
世カエルの足元の状況と今後の見通し
[レポートのポイント]
1. 2022年初来の世カエルのパフォーマンス
2. FTXトレーディングの破綻がブロックチェーン株式に与える影響について
3. ブロックチェーンの今後の見通しと世カエルの運用方針
ポイント1:2022年初来の世カエルのパフォーマンス
世カエルの基準価額は、以下の要因から年初来概ね下落基調で推移しました。
- 2022年2月から3月にかけてロシア・ウクライナ紛争を受けた地政学リスクの急激な高まりからリスク資産が下落したこと
- 米国でのインフレ率の高止まりを背景に、FRB(米連邦準備理事会)が政策金利の大幅な引き上げに動き、それが長期化するとの警戒感から、金利上昇が重しとなるバリュエーションの高いグロース株やテクノロジー関連企業株式が下落基調となったこと
- ブロックチェーン関連株式の個別の要因としては、
ー 暗号資産の価格変動性の低下により売買が落ち込み、収益悪化をもたらすとの懸念から、暗号資産取引所関連の株式が下落したこと
ー 暗号資産価格の下落とマイニング時の電力コストの高騰を受け、マイニング大手企業の株価が下落したこと
年初来のファンドの基準価額(課税前分配金再投資)と世界株式の推移
ポイント2:FTXトレーディングの破綻がブロックチェーン株式に与える影響について
- 2022年11月11日に、暗号資産交換業大手のFTXトレーディング(非上場企業)およびその関連会社が、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条の適用を申請し破綻しました。この動きにより暗号資産業界への懐疑的な見方が強まり、暗号資産からの資金流出が起きたことで、関連株式が下落しました。
- その後時間の経過とともに、破綻の影響を受けた企業の同社に関する開示も進んできたことから、市場も落ち着きを取り戻しました。また、同社の破綻処理のルールが不透明だったものの、米連邦裁判所主導で進める可能性が高いことが判明したことも安心材料となったと考えられます。
- 短期的には暗号資産関連株式の変動性が高い状態が継続すると考えます。一方、中長期的には、今回の件は暗号資産の規制整備、透明性・信頼性の向上などを促すものであり、暗号資産業界にとってプラス材料となる面も期待されます。
- また、経営実態が不透明な同社のような企業が市場から閉め出されることは必要であり、運用チームはこれを好材料と捉えています。他方では、再編や企業買収が活発に行われており、新たな企業による参入は暗号資産分野の活性化につながり、市場の成長を促すものであると考えています。
ポイント3:ブロックチェーンの今後の見通しと世カエルの運用方針
暗号資産や金融領域から新しい産業へと裾野が広がるブロックチェーン技術
- ブロックチェーン技術は暗号資産関連企業だけでなく、様々な企業活動の分野に広がっていくことで新しいサービスや産業を生み出しています。
- ①ブロックチェーン技術によって、既存技術では時間的・金銭的負担の大きかった課題を解消できる、②企業活動や経営判断に用いるデータやアプリケーションがブロックチェーンでつながることにより、より安全、安価に精度の高い情報を把握できるようになる、などの利点から、今後企業のデジタル投資進展の恩恵を最も受けやすい産業としても、引き続き注目度の高い分野であると考えています。
- 当ファンドの設定当時に比べ、純粋なブロックチェーンビジネスを行う企業だけでなく、ブロックチェーンビジネス分野への投資や事業転換を行う既存企業など、より包括的に投資企業を選択することが可能になっています。さらに、投資対象企業の質も向上しており、ブロックチェーン関連企業の成長と拡大の確信を強めています。
世カエルはブロックチェーン技術を活用してビジネスを成長させると期待されるざまざまな企業に分散して投資
- ブロックチェーン関連株式の一部の銘柄は、成長性が高いと期待される一方、成長過程にある分野であることから特定の事象が一時的に株価に大きく影響する場面も見られます。
- 同時に、すでに盤石な事業基盤を持ちながらも、経営者が率先してブロックチェーン技術への積極的な投資を行い新たな成長ステージを目指す企業への投資機会にも着目しています。
- 世カエルでは特定の分野に偏らず、ブロックチェーン技術を活用する幅広い業種に分散したポートフォリオを構築していく方針です(下表ご参照)。
世界ブロックチェーン株式ファンド産業分類の構成比率
2613315-JP